X-ray, hard X-ray and MeV gamma-ray study at Uxg group Nakazawa sub-group

中澤 知洋の研究ページ


Last update, 2022/3/1


  • 大学院を志すみなさんへ+PDを検討している皆さんへ

  • 私たちは、宇宙物理、特に高エネルギー現象に興味のある人、人工衛星を使って未知の天体現象を探ってみたいひと、自然界におけるまだ未解明の粒子加速、例えば雷雲中でのMeV電子静電場加速の研究をしてみたい人などを募集しています。特に2020年度からは、新たに半導体コンプトンカメラを用いた宇宙MeVガンマ線の気球観測実験を立ち上げ、MeVガンマ線の次世代探査の技術開発を進めています。これは装置開発としては2030年代の世界の硬X線観測を担うと期待されている高感度衛星FORCEにも深く繋がっています。2023年度には革新的な精密X線分光を実現するXRISM衛星の打ち上げが迫り、MeVガンマ線観測の世界ではCOSI衛星の2025年打ち上げも決まり、いずれにもメンバーとして参加しています。これを使った高エネルギー天体物理のデータ解析も進めてゆきます。


    NEWS:
    • 2022/2/24:金沢市の雷ガンマ線観測で12/30のイベントに加え、2/16と2/17にも明るいGamma-ray glow が観測されました。昨年度2021/1/9の明るいイベントと合わせ、詳細なデータ解析中です。
    • 2021/10/25:金沢に検出器を設置し、2021年度の雷ガンマ線観測を始めました。
    • 2021/10/19:アメリカのMeV観測衛星計画 COSI が最終セレクションを通過し、2025年の打ち上げが決まりました。COSIは、NASAの小型科学衛星SMEX計画の最新の仲間です。Ge半導体を用いたコンプトン望遠鏡であり、我々の銀河系に広がる星々や星間空間からやってくる重元素のガンマ線輝線を最高精度で観測します。また、サブ検出器を用いた雷ガンマ線TGF観測も実施します。日本からは中澤と東京大学KavliIPMUの高橋らが参加しており、名大はサブ検出器の開発サポート、雷ガンマ線の観測研究のリードを担当し、MeV観測の解析にも参加します。 詳細は こちらのNASAのリリースをご覧ください。
    • 2021/8/16: "Multiple Gamma-Ray Glows and a Downward TGF Observed From Nearby Thunderclouds" (Hisadomi, Nakazawa, Tsuji et al. JGR Atmospheres) 論文が公開されました。

    2023年度にグループに加入するPD、大学院生、学生を歓迎いたします。以下のビッグイベントが待っています。
    • 2023年中:世界最新の宇宙X線観測衛星XRISMの打ち上げ。桁違いの精密X線分光観測でX線宇宙観測を革新します。博士課程に進む場合、D論でこれを使う可能性は高いでしょう。
    • 2023年4月ごろ:miniSGD気球実験@豪州:シリコンとCdTe半導体イメージャを、シンチレータ検出器で囲んだ観測装置を高度35 kmほどに上げて宇宙観測の性能実証を行います。将来のMeV観測の革新のための技術試験と、将来の硬X線高感度衛星FORCEの検出器開発を兼ねており、衛星搭載機器開発の最先端に立ってその性能を実証し改良してゆく研究です。
    • 2025年:COSI衛星の打ち上げ。SMEX小型衛星で、我々の銀河系内のガンマ線輝線探査を中心に、1990年代依頼久々のMeVガンマ線天文の再開です!名大はサブ検出器の開発サポート、雷ガンマ線の観測研究のリードを担当し、MeV観測の解析にも参加します。 詳細は こちらのNASAのリリースをご覧ください。

    このほかに継続して以下の活動があります。
    • 毎年10月-3月:金沢で冬季雷からのガンマ線観測を実施。夏にデータ解析をして、次の新発見へ新しい観測装置を開発し、秋には金沢に設置して、翌春まで観測を続けます。
    • 通年:既存の宇宙X線観測衛星のデータを用いた宇宙の高エネルギー天体の解析研究。

    詳細は本ページの下の方を参照ください。
    少しでも興味が沸いた方は、遠慮なく中澤までメールください(連絡先nakazawa_at_u.phys.nagoya-u.ac.jp)。当グループでは名大だけでなく、関東や関西など大学出身の学生も広く募集しています。。

    研究室ガイダンス(2021/5/29)のスライドより

    X-ray, hard X-ray and MeV gamma-ray study at Uxg group Nakazawa sub-group X-ray, astronomy and its future with the XRISM observatory
    Hard X-ray and MeV gamma-ray new detector development for FORCE, miniSGD and other future missions
    New acceleration physics with thundercloud gamma-ray observation. As the GROWTH team.

  • 研究の狙い

  • いま、宇宙に対する人類の理解は、急速に進んでいます。例えば、この宇宙はまだまだ若く進化の途中であることがわかってきました。世界が豊かで、我々が生命を育めたのも、まだ若い宇宙にいるからなのです。宇宙には世界観を変えるような、人類の想像を超えた現象がしばしばみられ、今も新発見が続いています。この中で我々は「硬X線・MeVガンマ線」という高エネルギー光子の宇宙観測を軸に、こうした謎に迫ろうとしています。特に100 keV前後の硬X線やMeVガンマ線は人類の観測の到達感度がまだまだ未熟で、未発見の物理現象が多く隠されています。最近になって宇宙ガンマ線観測衛星での検出をきっかけに、我々の身近の雷雲にすら不思議なMeV粒子の加速機構が発見されました。この加速の原理がわかれば、宇宙の他の領域でも同様の加速が起きている可能性を議論できるかもしれません。本グループでは、このように「高エネルギー×宇宙」をキーワードに研究を進めています。

    宇宙には高温・高エネルギーの天体が沢山おり、宇宙の今の姿に大きな影響を与えています。 銀河の中心にあってX線で明るく輝く巨大ブラックホールは、銀河の進化を制御していると考えられており、 宇宙最大の天体である銀河団はダークマターと1億度の高温プラズマの塊です。 このプラズマは銀河の質量の10倍近くありバリオンの主成分で、X線で明るく輝いています。 超新星の残骸もまた爆発の運動エネルギーを衝撃波によって急速に熱に変え、数千万度の高温となってX線で輝きます。

    宇宙ではしばしば粒子加速が起き、相対論的なエネルギーを持つ粒子が大量に存在します。これを「非熱的宇宙」と言います。 例えば我々の銀河の中で宇宙線がもつエネルギー密度は、星間ガスのそれよりを上回っており、 分子雲ガスの成長や星生成に大きく関わっているとされるなど、宇宙の今に大きな影響を与えています。 こうした相対論的粒子は、GeV・TeVガンマ線や電波観測から研究されていますが、上記の高温のプラズマの中で生まれるとされているにもかかわらず、 まさに粒子が加速しはじめるところ、すなわち熱的宇宙から非熱的宇宙が生まれるその場所やその仕組みは、いまだにわかっていません。 当グループではこうした謎を解決するための観測研究、さらには将来その突破口を開くための衛星搭載の先端観測装置の開発に取り組んでいます。

    詳細は本ページの下方に記述と各研究ページへのリンクがあります。


  • プロフィール


  • 略歴:1974年、横浜生まれ。東京大学物理学科を経て、大学院理学系研究科へ進学。
    2001年 博士(理学)取得。
    前々職:宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙科学研究本部 高エネルギー天文学研究系 助手
    前職:東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 講師
    現職:名古屋大学 素粒子宇宙起源研究所(KMI)・理学研究科素粒子宇宙物理学専攻 准教授
    連絡先:nakazawa_at_u.phys.nagoya-u.ac.jp (_at_を @ に差し替えてください)

    プロフィール詳細
  • 研究の詳細

  • 以下に、大きく3分野に分けて、我々の研究の紹介をまとめました。