1.の目標については、SiCや繊維状炭素等の新しい軽く丈夫な材質の導入をは じめとして、精度の高い母型の開発などを行っています。
2.についてはBraggの1次ピークだけではなく2次やさらに高次のピークまでを効率的に利用した今までの既成概念に捕らわれないような、新しいデザインを試作しています。
さらに、多層膜技術の応用として、多層膜を反射面に用いた回折格子の開 発も行っています。回折格子はX線でも非常に高いエネルギー分解能を持った分光素子として、アメリカのチャンドラ衛星やヨーロッパのニュートン衛星に使用されています。しかしながら、数keV以下の低いエネルギーに対してしか 感度を持たないという欠点があります。宇宙の進化のカギを握る元素である鉄 の輝線は6keV以上の比較的高いエネルギーに出てくるため、現在の回折格子で は十分な効率で観測ができません。そこで、回折格子の表面に多層膜をつけてやることにより、高い効率で観測が行えるようになります。
現在案に上っている将来計画として、日本の次期硬X線天文衛星FORCE(
資料1、
資料2)などがあり、望遠鏡として多層膜スーパーミラーを 用いた硬X線望遠鏡を予定しています。今まで誰も見ることのでき なかった新しい宇宙の姿を観測していきたいと思っています。