左上の図は「あすか」で観測された髪の毛座銀河団のX線画像を等高線で表した ものと「あすか」の観測で明らかにされた温度分布(カラー)を重ね合わせたも のである。X線画像(等高線)をみると球対称に近い構造に見えるが、温度分布 は非対称性が非常に強く見えている。温度が一様ではなく、温度分布が存在す る事から、この銀河団は衝突して10億年位しか経っていない銀河団であること が明らかになった。
同じような温度構造はへびつかい座銀河団でも見えている。(右上図)
このように「あすか」による観測は、X線画像や温度分布から、銀河団が衝突 してからの経過時間を推定する、という新たな手法の確立に非常に大きく 貢献し、この手法によって銀河団の衝突合体と銀河団の成長の研究が 現在も進んでいる。
参考文献
"Temperature Map of the Coma Cluster of Galaxies"
M. Watanabe, K. Yamashita, A. Furuzawa, H. Kunieda, Y. Tawara and H. Honda Astrophys. J., 527, (1999) 80
"Detection of a Temperature Structure in the Coma Cluster of Galaxies with ASCA"
H. Honda, M. Hirayama, M. Watanabe, H. Kunieda, Y. Tawara, K. Yamashita, T. Ohashi, J.P. Hughes and J.P. Henry,Astrophys. J. Lett., 473, L71-L74 (1996)