名古屋大学U研X線グループ
名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 宇宙物理学研究室
〒464-8602  名古屋市千種区不老町 Tel:052-789-2921 Fax:052-789-2919
 
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反射鏡の性能評価

X線評価システム
X線光学では、ナノメータを切る精度の測定が必要とされ、常に時代の最先端の評価技術が導入されてきた。しかし、最終的にはX線を用い、機能測定をして始めて真の評価をしたことになる。加工のプロセスの中での評価には光の評価装置を使用するが、X線での評価システムの確立を柱に考えている。X線光源としては、高輝度の軟X線発生装置から出る特性X線を、分光器で濾過して用いることと、軌道放射光で波長を連続的に変えながら測定することを考えている。前者は望遠鏡の全体の光学特性を我々の実験室で測定することに重点があり、後者はむしろ、鏡面等の性質を個別に詳しく測ることに重点がある。実験室では小型のX線ビームラインがあり、ある程度の表面評価、多層膜の性能評価が可能であるが、これを新しいX線発生器、2次元検出器としてのCCD等の導入で改良して、より使いやすく精度の高いX線評価システムにすることを目指している。
反射鏡の製作
凹凸評価の範囲 評価法 装置説明
     




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クリーンルーム
クリーンルームは奥行き3.5mの光源室と5.9mの測定室からなっており、清浄・暗室仕様になっている。X線天文衛星「あすか」に搭載されているX線望遠鏡の形状評価(光軸周りのばらつきの評価)のための光学測定システムが導入されている。(figure.1)
室内の清浄度は設計値でクラス10000(0.5μmサイズのホコリ<10000個/cft, 0.5μmサイズのホコリ<0個/cft)、実測値で〜400である。
クリーンルーム1
装置写真
 
figure 1 figure 1
 
figure 2
     
2-a 2-b 2-c 2-d
figure2
較正用ミラー(23mmt)
焦点面より75mm手前

較正用ミラー(23mmt)
焦点面より50mm手前 2-c

較正用ミラー(23mmt)
焦点面 2-d
切削加工ミラー(0.5mmt)
焦点面
 
光学測定システム
2-1. 平行可視光源
ハロゲンランプを光源とし、光源を出た光は0.3mmφのピンホールで絞り込み、ピンホールを焦点とする焦点距離1807mm軸はずし鏡によって平行光源にする。
平行度 : arctan(0.3/1807) 〜 0.6分角
(0.1mmφのピンホールの使用により平行度〜0.2分角も可能)

2-2. 垂直入射台
X線天文衛星「あすか」に搭載されているX線望遠鏡を性能評価するとき、重力変形による影響を減らすために、45°傾けた平面鏡を通すことにより、光を真上から入射できるようにしたものである。これにより、光軸に対し垂直な円周方向の重力による変形による違いを考慮せずにすむようになる。そして、望遠鏡で反射した光は、再び45°傾けた平面鏡を介して水平に戻され、後方の検出器に照射されるようになっている。なお、この垂直入射台には2軸方向のアオリができるように、マイクロメータヘッドを直角方向に2個取り付けてある。精度は、光軸方向が0.12分角、方位角方向が0.18分角である。

2-3. 検出器
検出器には、画像取り込み用にCCDカメラを用いた。CCDカメラはステージの上に置き、前後左右上下にマイクロメータで微調できるようになっている。
CCDカメラ : 浜松フォトニクス製C3077
全画面のうち中央部のピクセル512×480個を使用している
(1ピクセルサイズ 11×13μm^2)
測定したデータは、日本アビオニクス社の画像解析装置に取り込み、定量的な解析ができるようになっている。

2-4. 光学測定結果
figure 2 に測定した結果を示す。
a. 較正用ミラー (23mmt) 焦点面より75mm手前
b. 較正用ミラー (23mmt) 焦点面より50mm手前
c. 較正用ミラー (23mmt) 焦点面
d. 切削加工ミラー(0.5mmt)焦点面


参考文献
先間康博 1993 修士論文
     
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クリーンルーム1
装置写真
 
NH-3 : 3次元形状測定器NH-3 3次元形状測定器は、非接触型3次 元表面形状測定装置です。上の図に示されているように、顕微鏡鏡筒に送り込 まれたレーザー光は、対物レンズを通り、光軸中心の焦点面に向かって進み、 サンプル表面に反射して再び対物レンズを通ってAFセンサー部に結像します。 フォーカスが合っていない時、レーザーの位置が変化します。この位置変化を センサーが捉え、AF駆動機構を用いて対物レンズをフォーカスポイントへ位置 決めします。ワークを自動XYステージでスキャニングさせ、オートフォーカス した各フォーカスポイントのXYZの座標値をコンピューターに取り込み測定し ます。この方式により、表面形状や色、反射率等に左右されない高精度な非接 触3次元測定を行なうことができます。
 
NH-3 : 3次元形状測定器2稼働範囲は、X方向が150mm、Y方向が150mm、高さが60mmです。 最小 0.1μm/stepで移動できます。また、高さ68mmまでのサンプルが測定できます。 波長633nmのHe-Neレーザーを使用しています。 測定できる高さ方向の分解能は、0.01μmです。
 
NH-6 : 3次元形状測定器稼働範囲は、X方向が400mm、Y方向が500mm、高さが150mmです。また、 スペーサーを外すことにより、高さ250mmのサンプルまで測定できます。 円柱の表面の測定を行なう際、 NH-3では、半径30mmの円柱までしか測定できません。 現在製作しているレプリカ母型(マンドレル)の半径は50mm以上であるため、 NH-3に比べ稼働範囲が大きなNH-6での測定が必要となります。
他のスペックはNH-3と同じです。
 
レーザー変位計
レーザー変位計
レーザー変位計は、(1次元)非接触型 形状測定装置です。上の図に示したように、試料表面にレーザー光を当てると (A)の位置で反射(散乱)された光はレンズによって集光され、受光面 (P.S.D.=Photo Sensing Device)上の(a)の位置に焦点を結び、 (B)の位置で反射(散乱)された光は(b)の位置に焦点を結びます。 従って、受光面上のSの大きさを測定することにより、表面の凸凹の大きさLを 得ることができます。

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X線ビームラインとは …
クリーンルーム1
装置写真

X線ビームラインは、我々の研究室で製作しているX線の望遠鏡、反射鏡の 特性を測定するために用いられています。 我々のビームラインは、図のようにX線発生装置、(二結晶分光器、)測定チェンバー(Chamber)からなっています。われわれの研究室には、図のような望遠鏡測定用の望遠鏡チェンバー、一般ミラー測定用のミラーチェンバーなどがあります。

X線発生装置から発生するX線は、真空に排気されたダクト中を通って、測定チェンバーに導かれます。そして、測定チェンバーにおいてサンプル、実際に衛星、気球などに搭載するフライトミラーなどの反射率測定などが行われます。

反射鏡、望遠鏡の性能を正しく把握するためには、実際に使用する状況と同じ状況で 測定するのが理想です。

望遠鏡は天体からの光を集光結像する道具ですね。

天体からの光は平行光であることから、同様の状況を作りだすためには、導入されるX線も出来るだけ平行であることが望まれます。X線発生装置から創り出されるX線は、完全な点から発生する光源ではなく、ある広がりを持った領域(たとえば1mm×1mmの正方形の大きさ)からの光源といえます。極端な話をすると、この正方形の光源を正面から1mmの距離で見ると、正方形の上辺から来る光と、下辺から来る光は全く違った方向から来る光に見えます。しかし、これを10m離れてみると、ほとんど同じ方向から来る光に見えます。つまり、平行光ということができます。

つまり、出来るだけ平行な光をつくり出すには、光源から出来るだけ離れたところでその光を見る、ということになります。

したがって、X線発生装置から発生するX線を、すぐとなりにチェンバーを設置して、受けるのでなく、わざわざ真空に排気されたダクトを通して、光源ーサンプル間距離を長くしてチェンバーに導入することで、より平行度の高い光を創り出しているのです。 X線ビームが一直線(ライン)にダクトを通してチェンバーに進んでますね。X線ビームラインというわけです。



か↓
X線ビームラインとは
X線ビームラインとは2
X線発生装置からチェンバーまでビームラインが伸びている様子。
   
   
クリーンルームは奥行き3.5mの光源室と5.9mの測定室からなっており、清浄・暗室仕様になっている。X線天文衛星「あすか」に搭載されているX線望遠鏡の形状評価(光軸周りのばらつきの評価)のための光学測定システムが導入されている。(figure.1)
室内の清浄度は設計値でクラス10000(0.5μmサイズのホコリ<10000個/cft, 0.5μmサイズのホコリ<0個/cft)、実測値で〜400である。
クリーンルーム1
装置写真
   
クリーンルーム1
   
SPring-8の特徴と測定結果
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「硬X線領域における多層膜反射鏡の性能評価」
クリーンルーム1
装置写真
製作した硬X線反射鏡は、U研のビームラインにて その光学特性の評価を行ないます( X線反射鏡の製作と評価 X線ビームライン IX線ビームライン II を参照)。しかし実際硬X線望遠鏡を用いた観測を行うには、 測定を行うエネルギー領域 ( 35〜50 keV ; 詳しくは InFOCuS 計画の概要 を参照 )での光学特性(この反射鏡によって、どのくらいの効率を持つものなのか、 どのくらい集光されているものなのか)をあらかじめ知っておく必要があります。 そのためには硬X線領域において、より高輝度で単色度の高い光源が必要になります。 この条件を満たす光源を持つ施設が、シンクロトロン放射を利用した放射光施設です。
ここでは、高輝度放射光施設「SPring-8」にて、我々が製作した硬X線反射鏡 について 25〜50 keV の硬X線領域において測定を行った結果について述べます。
 
高輝度放射光施設「SPring-8」、 BL24XU
高輝度放射光施設「 SPring-8 」 は、 周長1436m、 加速エネルギー8.0 GeVと世界最大の放射光施設です。 SPring-8の放射光の特徴として、 (1)紫外線からX線までの広い波長範囲(0.01〜2 nm)で世界最高の強度を持つ。 (2)優れた指向性( 100 m先で2.4 mm の広がり)を持つ。 などが上げられます。( Spring-8 についての詳しい説明は SPring-8 HomePage を参照。)
今回実験を行なったビームライン(BL)は、BL24XUです。 この BL は、放射光を利用した材料評価、構造解析、および 放射光の医学利用を目的として、兵庫県が建設した兵庫県 専用のBLになります。BL24XU には 3 つの実験ハッチ(A,B,C)が 設置されており、実験は、そのうちの実験ハッチ C で行ないました。 実験ハッチ C の利用は、実験ハッチ C 参加研究グループである 姫路工業大学理学部X線光学講座 との共同研究によるものです。(この BL についてのより詳しい説明は、 兵庫県放射光研究施設 Hyogo-BL Homepage を参照。)
実験セットアップ
実験セットアップ
上図は実験のセットアップです。実験ハッチCの手前には、 Si(111)を用いた二結晶分光器が設置されており、この1次ピークを用いて 4.7 〜 37.8 keV の単色X線を得ることができます。 よりエネルギーの高いX線については、高次のブラックピークを用いることで 単色化を行います。 分光したX線をサンプルに入射後、反射光を NaI シンチレーションカウンターで検出しました。 測定は反射率の角度依存性と、反射プロファイルの測定を行いました。
測定結果
ここからが実際に測定した結果です。
  1st 2nd 3rd 4th 5th
周期長Å 50〜46 40 36 33 31
積層数 5 8 12 18 25
重元素比 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4
  • 多層膜および多層膜スーパーミラー反射鏡の反射率角度依存性
    重元素比 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 下図(左)は、32 keV における多層膜の反射率測定の結果である。 多層膜は、フロートガラス基板に周期長 37.55 Åこれに積層数 20 層、 重元素比 0.43 の設計値で製作したものである。下図中、測定結果を 赤線で、計算値(界面粗さ 2.85 Å)を緑点線で示している。このとき 多層膜は 1 次ピークにて約 70 % という高い反射率を示しており、このように 実際硬X線領域においても、高い効率を持っていることを証明する結果が得られた。
    また下図(右)は、多層膜スーパーミラーについて多層膜と同様に反射率測定を 行った結果です。多層膜スーパーミラーは入射角 0.295 度用に設計された ものであり、そのパラメーターは右表の通りです。 図中、白線が硬X線望遠鏡に使用する Pt レプリカ基板、赤線が Au レプリカ 基板、緑線がフロートガラス基板を使用したものです。 こちらも多層膜と同様に Pt レプリカ基板に成膜したスーパーミラーで約 32 % という 高い反射率を示しています。また、Pt レプリカ基板に 成膜した硬X線反射鏡は、これまで多層膜の研究に用いてきたフロートガラス に成膜した多層膜スーパーミラーよりも高い効率を持っていることがわかります。
測定結果
  • 多層膜およびスーパーミラーの反射プロファイル
    硬X線望遠鏡を用いて観測を行ったときの結像能力を知るために反射プロファイル の測定を行いました。下図がその結果です。左が、上の右と同じ多層膜サンプル、 左は実際に気球実験に用いる硬X線反射鏡の反射プロファイルになります。 このとき反射光は、多層膜に見られる特有の反射プロファイルを示します。
測定結果
詳細な結果についてはこちらをご覧下さい
 
 
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