名古屋大学U研X線グループ
名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 宇宙物理学研究室
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ASTRO-E衛星によって期待される銀河団スペクトル
Introduction

ASCA衛星の解析結果から、鉄のKα輝線に比べKβ輝線が非常に強いことがわかった。
この原因として、2つの要因が考えられる。

1) 鉄のKβ輝線が強い。Kα輝線に含まれるニッケルのabundanceが鉄のabundanceより大きい。
Dupke et al. (1999, astro-ph 9902112 and 9907343) は重元素の中心集中がある銀河団のASCAデータ解析を行ない、 ニッケルの輝線が強いだけで、共鳴散乱の効果はないと主張する。さらに、 そのニッケルの量 (Ni 〜 5 Fe) は、Nomoto et al. (1997, Nuclear Physics A621, 467c.) の Convective Deflagration model = W7 SN Type Ia モデルと一致していることから、 銀河団中心で、SN Ia ejectが多いことを示していると結論付けている。

2) 鉄のKα輝線が弱い。共鳴散乱効果により光学的深さの大きなKα輝線が減少している。 Centaurus cluster, Perseus cluster, M87などは、銀河団中心でのHe-like Kα輝線の光学的深さが1より十分大きい(>1.7)。そのような銀河団では、銀河団中心での輝線強度比がモデル(衝突電離平衡に達した光学的に薄いプラズマからの輻射モデル)と一致しなくなる。 この場合は、鉄のHe-like Kα輝線を用いて鉄のabundanceを決定する場合、中心で小さく見積もっている危険性がある (光学的深さτ=1、温度=6keVの時、半径 < 1/2 Rcの中心領域で〜2割減程度)。

ASTRO-E衛星の利点

エネルギー分解能 →輝線の分離
位置分解能 →銀河団中心部分のスペクトルの獲得
つまり、共鳴散乱効果の影響が大きい銀河団中心部分のスペクトルにおいて、細かく分離された輝線を調べる事ができる。

Simulated Spectra

A85 (RS type: cD, BM type: I、cooling flow cluster 〜20-70 M/yr)を100ksec観測した時に得られると期待されるスペクトルをシミュレートした。(下の2つの図のデータ点)
このとき、ニッケルのabundanceは鉄のabundanceと同じとし、共鳴散乱は考慮されていない。

1) の場合について もし、ニッケルが鉄と同程度のアバンダンスしかなかったら、下の図の緑のようなスペクトルが得られるはずであるが、ニッケルの量が鉄の5倍存在していたら青のような強いニッケル輝線が検出できるはずである。従ってニッケルのabundanceが正確に決定できると期待される。

A85 Simulated ASTRO-E XRS Spectra (100ksec) とニッケルのabundanceに着目した モデル
A85 Simulated ASTRO-E XRS Spectra (100ksec) とニッケルのabundanceに着目した モデル

しかし、もしニッケルが鉄の5倍ものアバンダンスを持っていなかったら、ASCAの観測で得られた7.5-8.2 keVの 強い輝線は何だったのだろうか、ということになる。

そこで、2) の場合
A85のHe-like Fe Kα線の光学的深さは〜1である。
そこで、ASTRO-E衛星XRSで観測した際に、共鳴散乱を受けない時(緑+赤のスペクトル)と受けた時(緑のスペクトル)に期待される 半径(projected radius)が 1/2 Rc以内 のスペクトルを次に示す。 赤い部分が共鳴散乱を受けて減少して観測される部分である。 この時、共鳴散乱の影響を大きく受ける輝線は、6.635、6.674、6.699keVの3本の輝線で、1〜2割減少する。 鉄のKβ輝線については、共鳴散乱の影響をほどんど受けないため、上の図で示した緑のスペクトルのままである。
(コア半径 Rc は、〜1' = 90 h50-1 kpc、βは0.52)

A85 Simulated ASTRO-E XRS Spectra (100ksec)と共鳴散乱効果の影響に着目した モデル
A85 Simulated ASTRO-E XRS Spectra (100ksec)と共鳴散乱効果の影響に着目した モデル

更に、空間分割された より中心部のスペクトルを作る時、この影響は大きくなる。

 
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