X線発生装置では、ターゲット側を陽極、フィラメント側を陰極として、この間に数10kVの高電圧をかける。 すると、フィラメントから電子が飛びだし、陽極に引っ張られて加速し、ターゲットに衝突する。この衝突時に、2つの種類のX線が放射される。
- 1つ目は、フィラメントからの電子が減速を受けることによって、制動放射と呼ばれる放射により発せられる制動X線(あるいは連続X線)である。
- また、もう1つはターゲット物質の電子がフィラメントからの高速の電子によってはじきとばされる作用により、ターゲット物質固有のX線を出す。これを特性X線という。
このX線発生装置からのX線をCdZnTe半導体検出器で測定したスペクトルが、 以下の図である。X線発生装置のターゲットはこの時モリブデンを用いており、連続X線と、17.5keVにモリブデンの特性X線を見ることが出来る。特性X線は本来、線幅が極めて細く、この図のような幅はないのであるが、検出器のエネルギー分解能によってなまされるため、多少太く見えている。連続X線はだらだらと広いエネルギーに渡って見ることが出来る。