名古屋大学U研X線グループ
名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 宇宙物理学研究室
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チェンバーとは…

チェンバーは、通常、測定するサンプルなどを入れる部屋を意味します。 通常、チェンバー内を真空にしてサンプルの測定を行います。 したがって、チェンバーは内側が真空、外側が大気ということで、大気圧という1cm2あたり1kg重の力が働き、チェンバーの面積を考慮すると、チェンバーには40トンもの力が加わることになります。したがって、丈夫なステンレスでチェンバーは作られています。

写真に測定チェンバーの中身を紹介します。チェンバーの中には、まずフロートガラスに成膜したスーパーミラーレプリカミラーなどのサンプルとX線の検出器が入っています。

そして、ミラーの反射率などを正しく測定するためには、X線がミラーの面上に収まるような大きさになるように、そしてより平行度をあげるためにスリットで絞ります。したがって、X線のビームの大きさを絞るためのスリットがあります。

つぎにサンプルを精度良く動かす必要があります。したがって、サンプルミラーをXY方向に動かすためのステージ、ミラーと検出器を回転方向に動かすためのゴニオメータが存在します。これらは写真の通りです。XYステージでは1ミクロン(=0.001mm)の精度でサンプルを動かすことが出来、目に見えないX線をミラーに当てるのに大きな役割を果たします。ゴニオメータもミラーの反射率の角度依存性を正しく測定するために同じく活躍しています。

図1
 
X線のながれ
図2
チェンバーの中の様子
反射率測定

入射角を変えながら、アルミのX線をもちいて多層膜の反射率を測定すると、 下図のようになります。横軸が入射角、縦軸が反射率を表しています。緑の実線で表されているのが理論値、赤が実測値です。このグラフでは、入射角6.3度の時にブラッグピーク反射率12%程度ということが出来ます。 ここで、入射角とはミラーの面に平行な線を0度とし、垂直な線を90度としています。 6度というと、およそ10cm離れて1cmの球の上端と下端を見る感じです。 我々の目指している硬X線のスーパーミラーでは、入射角が0.3度程度であり、これは 2m離れて1cmの球の上端と下端を見る感じになります。

このような微小な角度をゴニオメータによって正確に変化させることにより、ミラーの反射率を測定しています。ゴニオメータは最小ピッチ1秒角(およそ0.0003度)を持っており、十分精度良く測定できるようになっています。

多層膜の反射率
図4
チェンバーとその周辺の概観

およそ10m先の上流から導かれたX線はチェンバーに入り、それらはパソコンによって 制御され、自動測定が行えるようになっています。写真は、チェンバーと検出器などの 電源機器、ステージコントローラー、パソコンなど。

右側から、ステージコントローラー、制御用パソコンがならんでいる様子
右側から望遠鏡チェンバー、ミラーチェンバー、
ラック(イオンゲージコントローラー、ピラニゲージコントローラー、高圧電源など)
図5
 
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